野外活動よもやま日記

登山や身近なトレッキングの活動を記します

2025.06.29 清冽な水と花々の「焼石岳」へ(つぶ沼コース)

はじめに

  • 7年前の忘れがたき景色

まずは次の画像をご覧ください。

20180618_焼石岳_姥石平

これは7年前の2018年6月18日に焼石岳の「姥石平*1」で撮影した1枚です*2ハクサンイチゲが尽きることなく、「一途に」そして「一面に」広がっていました。

  • 移りゆく季節、そこにあったのは…

あれから7年経過した今回、あの景色にもう一度出会いたいと思い、同山域に足を運んだのですが、季節は既に移り変わっていました。そこには一途な高山植物の群生をもたらす「雪解けの焼石岳」は既になく、かわりにあったのは「初夏の焼石岳」でした。

今回はそんな焼石岳を「初夏ならではの多様な花々」と「初夏のやわらかな風」そして焼石岳ならではの「清冽な水の流れ」とともにお届けしたいと思います。

画像A(09:50)池塘の先に焼石岳

池塘の先に焼石岳_20250629



1 登る山と登山道について

  1. 今回登る山域

焼石岳(標高1,547メートル|岩手県奥州市

  1. 今回のルートとコース*3

今回は岩手県側のルート*4を選択しコースを「つぶ沼コース」*5としました。

  1. つぶ沼コースの特徴
  • 激しい急登はありませんが、距離が約10キロあり長いです*6
  • 登山口は国道397号線沿いにあることからアクセスに優れており、登山口近くにはトイレ付き*7の広い駐車場もあります。
  • 後述する中沼コースとの分岐点に急な残雪の斜面がありますが、それ以外は危険箇所が少ないコースです
  • このことは秋田県側のルートについても言えますが、ルート上「水」が豊富です

2 登山概要

  • 日程 2025.06.29(日)
  • 天候 「晴れ」
  • 推定気温 入山時22度(午前6時頃)
  • 風 「銀明水」まで無風。「銀明水」から上は心地よい初夏の風あり
  • 実績値(GPSログによる)

総距離 19.4キロメートル
累積標高差(登り)1,225メートル
累積標高差(下り)1,187メートル


3 山域図と軌跡

図1 GPSログ入りグーグルマップ

図2 山頂域における実際に歩いた順路 

焼石岳山頂域の順路


4 行程

4-1 行程表

丸付き番号あるいはアルファベット表記をクリックすると画像に飛びます

段階 行程

登り

05:57【つぶ沼登山者用・駐車場】-06:00【⑧つぶ沼コース登山口】-06:22【1.5キロメートル道標】-06:52【金山沢】--07:30【石沼・道標】--08:00【中沼コース分岐点】--08:26/30【銀明水】--08:41【雪渓】--09:28【姥石平への分岐・道標】

山頂域での周遊

09:28【姥石平への分岐・道標】-(姥石平)-10:05【

焼石神社・道標|秋田県側ルート九合目】--10:32/42【山頂】-10:52【泉水沼】-10:59【姥石平への分岐・道標】
下り

10:59【姥石平への分岐・道標】-11:36【雪渓】--11:45/50【④銀明水】-12:08【③中沼分岐点】-(石沼・道標)-13:06【⑤金山沢】-13:40【⑧つぶ沼コース登山口】

4-2 行程中の留意点とポイントとなる地点

その1 行程中の留意点

特に「登山口」から「④銀明水」までの区間において、以下の画像のように至る所に「ぬかるんでいる場所」が散見されます*8。一般の登山靴では問題は少ないと思いますが、トレランの方のような訓練をされている方はともかくとして、ローカットのシューズは当該コースではあまり推奨できません

画像A(07:19)「②金山沢-石沼・道標」の区間にて

焼石岳つぶ沼コースぬかるみ_20250629

その2 ポイントとなる地点:中沼コースとの分岐点(地図中③)

この地点は遅くまで雪が残り、しかも短いながらも崖状の急な斜面を登らなければならない地点です。

画像③-1(08:05)中沼コースとの分岐点の様子(登りのとき)

  • つぶ沼コースは以下画像中にあるロープを使用する等して崖状の急な斜面を登ります
  • 画像中に映っている登山者は「中沼コース」からの登山者です

中沼コースとの分岐点の様子

画像③-2(12:08)帰り際に撮影した中沼コースとの分岐点の様子

帰り際に同地点を通ったとき、有り難いことに崖状斜面にスコップで雪に階段が彫られていることに気づきました。

中沼コースとの分岐点2

その3 ポイントとなる地点:銀明水(地図中④)

  • 水場のある絶好の休憩ポイントです。ベンチもあります
  • この辺りがちょうど「森林限界」となっているようです
  • ここから上は背の高い樹林がほぼなくなりますのでアルペン的な景観が眺められると同時に、風が強いときにはその風を一身に浴びることになります
  • ここから歩いて十数分の地点に遅くまで残る大きな雪渓があります
  • 以上より水分やエネルギー補給の他、暑さ寒さ対応のためのアウターの着脱*9を行う場所として適所であると思われます

画像④-1(08:27)銀明水

岩場の間から水がコンコンと湧き出ています。銀色の少し重めの柄杓が付随しており任意に使用可能です

銀明水_20250629

画像④-2(08:31)銀明水避難小屋への分岐

  • 湧水「銀明水」の地点から山頂方向に歩いてすぐの地点に避難小屋への分岐があります
  • 避難小屋はこの分岐点から歩いてすぐです
  • この避難小屋分岐点の近辺は雪が遅くまで残り、至る所で「せせらぎの音」が聞こえます

銀明水避難小屋への分岐_20250629

画像④-3(08:34)銀明水避難小屋への分岐点の上部から

  • 画像④-2の撮影ポイントから少し登った地点から撮影
  • 赤い屋根が避難小屋

銀明水の上部より_


5 画像一覧

画像①-1(05:57)登山口の「つぶ沼」と案内看板

国道397号線から奥州市中心部に向かって右折して100メートル程度入った地点にある「つぶ沼」。ここにトイレ付き駐車場があります。ここからスタートです

つぶ沼_20250629

画像①-2(06:01)登山口(山域への入口)

国道397号線の脇から山域へと入っていきます。最初は手すり付きの階段です

つぶ沼コース登山口_20250629

画像②(06:52)金山沢の徒渉

金山沢を徒渉します。つぶ沼コースの場合「本格的な沢の徒渉」はここのみです。画像中、赤い矢印の向きに進んでいきます

金山沢の徒渉_20250629

画像B(07:36)石沼を見下ろす

焼石岳_石沼_20250629

画像C(08:10)③中沼分岐を過ぎて最初の小橋

中沼分岐(地図上③)を過ぎ、銀明水(同じく④)に近づくにつれて、このような沢水が徐々に増えていきます。雪解けの時節と相変わらず豊富な水量です

中沼分岐から銀明水までの橋

画像D(08:20)④銀明水が近づくにつれて

樹林帯から抜けていき空が広くなっていきます。知らないうちに焼石岳に続く山並みに近づいていたことを知ります

銀明水直下_20250629

画像E(08:21)同時に登山道(木道)脇では…

このように開花する可憐な高山植物が目立つようになります

銀明水直下の花

画像F(08:35)沢水を渡る

焼石岳の沢水01

画像G(08:41)巨大な雪渓現る

踏跡がしっかりしているため、個人差はあれどゆっくり冷静に歩いて行けばアイゼン非装着でも大きな問題は生じないものと思われます

焼石岳の雪渓_20250629

画像H(08:48)雪渓の先にタニウツギ

雪渓を渡り、斜面を登り始めた地点に満開の「タニウツギ」あり

焼石岳_タニウツギ

画像I(08:50)残雪期における難所

  • 画像Gの雪渓より上にある登り傾斜の登山道にある地点です。ここを過ぎると勾配が緩やかになっていきます
  • 画像中、赤い矢印の向きに登っていきます
  • 今は画像のようにそれほどの水量でもありませんが、残雪期においては水量多く雪も赤矢印の斜面全面を覆います
  • かつて時期の早い6月上旬頃だったと思いますが、ここを歩いたとき、沢の飛沫を浴びながら雪渓を登った記憶があります

焼石岳残雪期難所_20250629

画像J(09:24)まもなく姥石平への分岐点という地点にて…

ウサギギクとおぼしき花あり

焼石岳_ウサギギク_20250629

画像⑤(09:28)姥石平への分岐・道標

  • 今回は道標中、「経塚山」「金明水」方面に進みます
  • もちろんこれらのポイントに向かうわけではありません。途中の分岐点で分岐して「⑥焼石神社・道標|秋田県側ルート九合目」に向かいます

姥石平道標_20250629

画像K(09:30)姥石平の初夏の花々

姥石平の初夏の花_20250629

画像L(09:42)夏油温泉に向かう夏油コースとの分岐点

  • 姥石平にある分岐点です。向かって左の矢印にしたがいます。
  • 真っ直ぐ進むと夏油温泉にたどり着きます。画像⑤中の「経塚山」「金明水」はこの途上にあります*10

夏油コース分岐点_20250629

画像M(09:45)姥石平にて名残のハクサンイチゲ

姥石平_名残のハクサンイチゲ_20250629

画像N(09:48)同じく姥石平にて今が盛りと咲くチングルマ

姥石平_チングルマ_20250629

画像O(10:01)まもなく「⑥焼石神社・道標|秋田県側ルート九合目」にて

初夏の風に微かに揺れる「コバイケイソウ

コバイケイソウ_20250629

画像⑥-1(10:04)「⑥焼石神社・道標|秋田県側ルート九合目」に到着

焼石岳_秋田県側九合目_20250629

画像⑥-2(10:04)同じく「⑥焼石神社・道標|秋田県側ルート九合目」から振り返る

「ハクサンチドリ」とおぼしき花と奥に「南本内岳・分岐点道標」

ハクサンチドリ_20250629

画像P(10:31)焼石岳山頂近く

初夏の心地よい風が吹き渡る

焼石岳山頂直下_20250629

画像⑦(10:33)焼石岳山頂

焼石岳山頂_20250629

画像Q(10:55)初夏の泉水沼

焼石岳_泉水沼_20250629

画像R(11:37)木道に溢れる清冽なる水

帰り際、まもなく銀明水(地図中④)という地点にて

焼石岳_木道に溢れる水_20250629


6 その他雑感

秋田県側ルート(東鳴瀬口コース)は、登山口へのアクセスに当たり、林道を通らなければなりません。当日が日曜日ということもあり、林道上で対向車と遭遇する機会もあるかもしれないと考え、今回は対向車への気遣い無用の国道で登山口にアクセスすることができ、しかも広い駐車場のある「つぶ沼コース」としました

当然のことながら、秋田県民である私にとって自宅からの近さという点で「秋田県側ルート」にはかないません*11。さらに秋田県側ルートの利点を挙げるとすれば「山域での歩く距離が短い」ということ、胆沢川の本流の徒渉を複数回繰り返すというワイルドさ、そして岩手県側に負けず劣らず多様な花々とも出会うことができるということが挙げられると思います*12。機会があれば来訪したいところです。

  • 当日の暑さ

当日の奥州市の最高気温が30度越えだったこともあり、山中でも日差しは強く、特に「銀明水」より標高の低い地点では風もなく、少なからず蒸し暑さを感じる山行となりました。結局、山域では半袖シャツ1枚で十分でした。

  • 初夏の山だからこその出会い

特に「銀明水」の近辺では相変わらずの圧倒的な水の量と流れがありました。清流を徒渉することや、どこからともなく聞こえてくる「せせらぎの音」には、どうやら癒やしの効果があるようです。今回は雪解けとともに一途に咲く「ハクサンイチゲ」のような花には出会えませんでしたが、このような「水の流れ」や「初夏ならではの多様な花々」、さらには「高原を吹き渡る風」と出会うことができました。

(以上)

*1:焼石岳山頂直下に広がる高原のようなエリアです

*2:午前9時49分に撮影

*3:大きな分類として「ルート」。「ルート」のうち途中、分岐によって別の登山道となるものを「コース」と呼ぶことにします

*4:秋田県側のルートもあります

*5:その他「中沼コース」があります。「つぶ沼」コースよりも「中沼コース」の方が歩く距離が短いということもありメジャーです

*6:中沼コースおよび秋田県側のルートの場合は約6キロの模様です。いずれにしても長めの距離です

*7:トイレは水洗のようですが、2025年6月29日現在、水が流れないため、使用後はトイレの中に常設のポリタンクの水を使って手動で流さなければなりませんでした

*8:これはこの山域だけの特別な問題ではなく樹林帯の中の尾根道では案外多く見受けられる光景かと思います

*9:残雪期においてはアイゼンの装着や準備等の雪対策も含みます

*10:画像にあるとおり分岐内容を示す看板が古びて分かりづらくなっている場合やあるいはそもそも存在しない場合もありますので、このようなときのためにも地図は必携です

*11:秋田県側ルートの登山口へのアプローチのために国道397号線から林道に入っていく地点には大きな看板が立てられています。その看板設置地点から「つぶ沼」駐車場までは車でおおよそ30分程度かかります

*12:さらに追加すれば「長命水」という名水にも出会えます