野外活動よもやま日記

登山や身近なトレッキングの活動を記します

2025.07.08 秋田駒ヶ岳の夏(中生保内ルートからの登山)

トピック(クリックまたはタップにより展開します)

ついにニッコウキスゲ現る

秋田駒ヶ岳・男岳の頂上近辺の稜線を中心にニッコウキスゲが咲き出し、黄色い花によって埋め尽くされていました。しばらくはさらに広がっていくような気配あり。

画像A(08:57)男女岳を背景に

秋田駒_ニッコウキスゲ_20250708

ムーミン谷・満開のチングルマ

ムーミン谷のチングルマはご覧のとおり、やや盛りを過ぎた感はあるものの「かたがり泉水」から「駒池」間では今まさに満開

ムーミン谷とは

画像B(08:15)駒池手前にて

秋田駒_チングルマ_20250708

登山口までのアクセス道路に崩落地点あり

中生保内ルートの登山口(駐車場)の手前約100メートルに崩落地点があり、2025年7月8日現在、登山口までは辿り着けません。ただし、車止めの地点から登山口までは歩いて数分程度です。

画像①(05:53)車止めの様子

中生保内ルート仮の駐車場_20250708

画像C(05:54)車止めの先から反対向きに撮影

車止め地点に僅かながらスペースあり。到着早々ハンドルを何回か切って車の向きを反対向きにしました。傾斜がありますのでサイドブレーキは必須です。

中生保内ルート仮の駐車場2_20250708

参考までに田沢湖駅前から車止め地点までのルートの軌跡をグーグルマップに示します。

図1 田沢湖駅からアクセス道路・車止めまでのGPSログ(車移動)

上図の内、②は幹線道路から中生保内ルートの登山口に向かうルートの右折地点ですが、その地点にある標識の下に次の画像のとおり「注意書き」がありました。

画像D(05:29)注意書き

中生保内ルート山域右折地点_20250708

「登山はできません」とのこと。当該掲示板にもあるとおり「崩落地点あり」がその理由なのですが、それ以外にも実はこの先の道は基本的に悪路です*1。したがってここから先に進む場合は、自己責任が原則になるものと思われます。*2

「駒池の木道」の水没状況について

ムーミン谷の駒池に隣接する木道は水没しており、今もなお渡ることができません。

ムーミン谷とは

画像⑥(08:19)駒池に隣接しているはずの木道

ムーミン谷駒池水没_20250708

試しに右足を軽くのせてみましたが、水の中に深く沈む有様でした。今回も前回*3と同様に向かって左側を迂回しました

迂回方法について

中生保内ルートは清流の道

中生保内ルート、特に「登山口」から秋田駒ヶ岳カルデラの縁である「御坪分岐」までの区間の特色は、登山道の側らに清らかな流れがあるということです。この時期の高温多湿な登山道に、一服の清涼感を与えてくれます。

画像E(10:35)登山道に隣接して流れる地点(下山路にて)

中生保内_御手洗_20250708

画像F(10:37)清流の徒渉(下山路にて)

中生保内_徒渉_20250708


今回の記事の内容


1 花

図2 秋田駒ヶ岳の7月の花々(群生イメージ図)

秋田駒_群生図_20250708

1-1 ニッコウキスゲ

画像G(08:59)男岳斜面にて(眼下に八合目避難小屋に至る道)

これでもまだ咲き始めの感あり。これからしばらく群生地を伸ばしていくように思われます。

秋田駒ヶ岳_男岳斜面にニッコウキスゲ

1-2 エゾツツジ

画像H(08:11)ムーミン谷に入ってまもなくして出現

秋田駒_エゾツツジ_20250708

画像I(08:50)男岳・稜線への急な登りにて

秋田駒_エゾツツジ2_20250708

画像J(09:03)まもなく男岳山頂という地点にて

ミヤマダイコンソウと共に

秋田駒_エゾツツジ・ミヤマダイコンソウ_20250708

1-3 チングルマ

画像K(08:06)やや盛りを過ぎた感があるも今もなお「お花畑状態」のチングルマムーミン谷入ってすぐの地点)

秋田駒_チングルマ_20250708

画像L(08:07)画像Mと同じ地点を広角に撮影。背後にうっすらと白く広がっているのもチングルマ

秋田駒_チングルマ_20250708

画像M(08:15)「かたがり泉水」から「駒池」までの区間。背後に男岳の主稜線。ムーミン谷の名の由来が察せられる光景

秋田駒_チングルマ_かたがり泉水から駒池

1-4 コマクサ

画像N(08:00)男岳分岐から程なくして「コマクサ」を発見*4

秋田駒ヶ岳_コマクサ_20250708

画像O(08:03)コマクサの群生現る。背後にこれまで歩いてきたカルデラの縁

もっと近づいて撮影したいところですが、植生保護区域につき、少し離れた地点からの撮影です。

秋田駒_コマクサ2_20250708

1-5 ハクサンシャクナゲ

画像P(06:57)カルデラの縁の歩き始め、低灌木の中に突如出現

秋田駒ヶ岳_ハクサンシャクナゲ_20250708

画像Q(07:05)朝日を浴びるハクサンシャクナゲをかき分けて進む道

秋田駒_ハクサンシャクナゲの道_20250708


2 山

2-1 登山概要

表1 登山概要表

分類 項目 摘要
期日 2025年7月8日(火)
山域・ルート 山域 秋田駒ヶ岳
ルート 中生保内ルート
残雪の有無 ルート上に残雪なし(無雪期登山)
気象条件 天候 晴れ
無風ないし微風
気温(推定) 午前6時(登山口)で20度、下山時(午前11時頃、同地点)で26度*5
装備(ポイント) ウエア
  • 上半身は半袖シャツ1枚とし、下半身は下刈りが行われていない区間を予想し登山用ズボンとした
  • レインウエア上下をザックに装備*6
プラティパス1リットル、500ミリリットルのペットボトル2本の合計2リットル
食料 昼食用としてパンを用意。その他、行動食として小箱のビスケット1箱分を持参*7

2-2 GPSデータによる実績値

参考までに今回の「中生保内ルート」を前回の「国見温泉ルート」と比較してみます

表2:「中生保内ルート」と「国見温泉ルート」との比較

項目No 項目名 今回の中生保内ルート 前回の国見温泉ルート

1

総距離 10.8キロメートル 12.2キロメートル

累積標高差(登り) 1,026メートル 1,026メートル

累積標高差(下り) 993メートル 1,009メートル

最小標高*8 665メートル(仮駐車場) 849メートル(国見温泉駐車場)

最大標高 1,624メートル(男岳山頂) 1,648メートル(男女岳山頂)

歩行時間 5時間11分 4時間50分

参考までに前回(2025年6月18日)の「国見温泉ルートによる秋田駒ヶ岳登山」の記事を貼り付けておきます

kkogenta2025.hatenablog.com

2-3 グーグル地図

図3 グーグル地図(GPSデータ入り)

2-4 登山ルートのイメージ

  1. まずは「①登山口」から「②御坪分岐」まで急登を登ります。距離は800メートルでそれほど長くはありませんが、標高差約400メートルを一気に登ります
  2. 「②御坪分岐」は秋田駒のカルデラの縁に位置しています。このカルデラの縁を反時計回りに進みます

画像②(06:52)御坪分岐

秋田駒_御坪分岐_20250708

  1. 途中「③横長根」と表示のある道標が現れます。ここで国見温泉からのルートと合流します
  2. 「④男岳分岐」はカルデラの縁にあるポイントです。このままカルデラの縁に沿って進むこともできますが、今回は左のトラバース道を進みます。このトラバース道の先に「ムーミン谷」があります

画像④(07:58)男岳分岐

今回は左側の道に入っていきます

秋田駒_男岳分岐_20250708

  1. 道はムーミン谷の中に入っていきます。途中「⑤かたがり泉水」の脇を通過し、現在水没中の「⑥駒池の木道」を迂回します

画像⑤(08:13)かたがり泉水

秋田駒_かたがり泉水_20250708

  1. ムーミン谷を進むとやがて次の画像にある分岐点が現れます。今回は右側(赤矢印)に進みます。ここから阿弥陀池に向けての急登になります

画像⑦(08:29)阿弥陀池への直登路の分岐点

阿弥陀池直登路分岐_20250708

  1. 急登を登り切るとカルデラの縁に至ります。ここで登った来た方角と反対の方角に下ると阿弥陀池に至りますが、今回はカルデラの縁を男岳山頂の方面に向かって登っていきます。

画像⑧(08:56)阿弥陀池への分岐

阿弥陀池分岐点_20250708

  1. 男岳山頂にたどり着きます

画像⑨(09:11)男岳山頂

秋田駒男岳_20250708

  1. ここから男岳を下り、カルデラの縁の上を「②御坪分岐」まで進みます。ここから先「②御坪分岐」までは、下り基調ながら今回のルートにおいて、最も注意を要する区間になります。その詳細については次項「2-4」のとおりです

画像R(09:53)カルデラの縁を御坪分岐まで下っていく。撮影地点は「⑪水沢分岐」を過ぎたあたり。右側奥に田沢湖が見えます

秋田駒_御坪分岐までの下り_20250708

  1. ②御坪分岐」からは来た道をそのまま登山口まで下ります。「車止め」により本来の登山口には車では辿りつけませんでしたが、その本来の登山口については次の画像のとおりです。

画像S(10:59)本来の登山口。崩落がなければここまで車で進入可能

秋田駒_中生保内登山口_20250708

2-5 今回の登山ルート上で注意すべき区間について

図4 注意すべき区間

中生保内ルート_難路区間

2-5 行程表

行程No 行程 各ポイント通過時刻
カルデラの縁に向けての急登 05:57【①仮駐車場】-06:00【本来の登山口】-06:36【沢の徒渉点】--06:51【②御坪分岐
カルデラの縁を東へ(緩い登り) 06:51【②御坪分岐】--07:28【③横長根・道標】-07:51【第二展望台】-07:58【④男岳分岐
ムーミン谷散策 07:58【④男岳分岐】--08:13【⑤かたがり泉水】--08:19【⑥駒池】-08:29【⑦阿弥陀池への直登路分岐
カルデラの縁に向けての急登

08:29【⑦阿弥陀池への直登路分岐】--08:56【⑧阿弥陀池分岐

男岳への登り 08:56【⑧阿弥陀池分岐】--09:09【⑨男岳・山頂
男岳からの急な下り 09:15【⑨男岳・山頂】-09:33【⑩ムーミン谷分岐】
カルデラの縁を南西へ(緩い下り|難路) 09:33【⑩ムーミン谷分岐】-09:47【⑪水沢分岐】--10:27【②御坪分岐
登山口に向けての急な下り 10:27【②御坪分岐】--10:37【沢の徒渉点】-10:59【本来の登山口】-11:03【①仮駐車場】

3 補足情報

今回、田沢湖駅から登山口までのGPSログを採録しようと思い、久々に田沢湖駅を来訪しました。時刻は朝の5時を過ぎたところ。観光地の最寄りの駅とはいえ閑散としていて、新聞配達とおぼしきバイクの方や散歩の方以外ほとんどいませんでした。ここで駅のトイレを利用しようとしましたが、残念なことに駅の玄関は始発列車にあわせて解錠する様子で開いてませんでした。その他、気になったこととしては何かの折に利用することになるかもしれない「駐車場」です。駅前の駐車場は十数台程度無料で駐車できるようですが、帰りにここを通りかかった際にチラ見したのですが、ほぼ満車状態となっていました。実際に駐車場を利用する場合は、田沢湖駅からほど近い「田沢湖郵便局の向かって左隣にある市営駐車場(無料)」の方がよさそうです。

  • 登山口までは「はっきり言って悪路」です

砂利道で凹凸のある区間を登山口に向かって運転しているとき、車の下の方から「ガン」という不気味な音がしました。何かに衝突した模様。こういったことは正直申し上げて精神衛生上あまりよろしくありません(笑)。「車止め地点」に到着早々、車の周りを目視しましたが、見かけ上異変はないようでした。繰り返しになりますが「ご自身のお車をこよなく愛されている方」または「メンタル的に引きずってしまう方」は、やはり別ルートの採用を検討された方がよいように思います。

  • 登山口から御坪分岐までの登山道に沿う沢の源流について

標記の沢*9は、「御坪分岐」の直下まで、標高の高い地点であっても、なお多くの水量を保ち続けていました。このことから、例えば十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流のようにカルデラから溢れ出るように水が流れ出しているのでは?と推察し、それらしき流出ポイントがないかと「御坪分岐」近辺を少しばかり注意深く歩いたのですが、それらしき地点は確かにあったもののそこにあった水の流れは沢の水量に比すれば極めて乏しい状態でした。このことから、おそらくカルデラの西側直下に湧出ポイントが複数あるような気がします。

画像T(06:59)流出ポイント候補

北桧内川の流出ポイント_20250708

  • 帰り際の温泉について

登山帰りに角館温泉「花葉館」で日帰り入浴しようと思い、当該施設に立ち寄ったところ、火曜日は浴槽の清掃があるとのことで、営業開始が午後2時となっていました。来訪時刻がちょうど正午ごろだったので2時間待つわけにもいかず、残念ですが日帰り温泉入浴なしで帰宅しました。今回はどうやら次の温泉への入浴が正解だったようです。次回以降の参考にしたいと思います。

www.heart-herb.co.jp

(以上)

*1:途中から舗装路と砂利道の混じった道路となり、道路表面上にいくつか凹凸、さらに枝の散乱や斜面からの転石も少なからずあります

*2:車の運転に自信がない、あるいはそもそも悪路向きの車ではない等、少なからず不安がある場合は、当該ルートの登山は積極的にはお勧めできません。有力な代替案としては、ここまで来た道の先にある「アルパこまくさ無料駐車場」に駐車の上「秋田駒ヶ岳・八合目行きバス」に乗車しての「八合目からの登山」が挙げられます。なおバスは例年6月下旬から8月中旬までは毎日運行しています。

*3:2025年6月18日に同地点を通過しています

*4:正直に申し上げますと、撮影技術が未熟ゆえにコマクサはうまく撮影できませんでした。今後とも精進いたします

*5:日中は「ほぼ無風」の「晴れ」であったため登山開始から終了に至るまで全般的に高温多湿状態の中での登山となりました。

*6:夏山は特に午後を中心に積乱雲の影響による雷雨になる可能性が常にある上に、当該山域では強風に見舞われる場合も多いため特に必要。トムラウシ山遭難事故の例を引くまでもなく「ザックにレインウエア」は登山者の矜持だと思います

*7:「チョコレート」「飴玉」は温度の関係でドロドロ状態になるため控えました

*8:GPSデータにつき実測値とは異なります。次項の「最大標高」も同様です

*9:グーグルマップ上では「北桧木内川」となっていました